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第7回科研合同研究会「地域研究と国際関係を繋ぐ」を開催しました。

活動報告
2018/03/26
  • 日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業 基盤研究(A)15H0185 研究代表者:清水耕介

「新たなガバナンス論構築のためのアジア研究とアジア型国際関係論による共同研究」

  • 共催:龍谷大学アフラシア多文化社会研究センター(Phase3)

第7回研究会「地域研究と国際関係を繋ぐ」

日時: 2018年3月10日(土) 13:00~17:00

会場: 龍谷大学 深草学舎 紫光館 3階 アフラシア多文化社会研究センター・プロジェクト室

=============プログラム(予定)===============
13:00~15:00 これまでの科研研究の総括とこれからの研究の連携についての討論 
15:00~15:15 休憩
15:15~16:00 李修京教授(東京学芸大学)による研究報告
「日・韓・在日韓国人社会を繋ぐ市民ガバナンスとしての‟在日本大韓民国民団"の考察:多文化共生社会を繋ぐ市民ガバナンスとしての‟民団地方本部"の役割」
16:00~17:00 討論
====================================

2018年3月10日(土)、龍谷大学深草学舎紫光館にて、本科研合同研究会を開催した。2015年度より行われてきた本科研のプロジェクトも本年度が最終年度となり、科研研究会の開催も今回が最終回となる。前半では、本科研におけるこれまでの研究活動の総括と今後の研究連携のあり方について、意見が交わされた。後半では、本科研の連携研究者の一人である李修京教授(東京学芸大学)より在日コリアン・コミュニティ、あるいはネットワークの組織形態の変容とそれが多文化共生に与える影響をテーマとして発表していただいた。

まず、前半部では、研究協力体制を維持・発展させていくにあたって、既存の国際関係理論をどのように問い直していくか、またそのためにどのようなアプローチを採用していくことができるのかということなどについて討論を行った。

DSC_0460 (3).JPG

討論の中心テーマとなったのは、主に、「ウェストファリア史観」の乗り越え、儒教的な世界観を背景とした「中国学派」の国際関係学における台頭とその問題点、そして、非決定論的なグローバル秩序の生成を捉える際の地域研究に根差した実証的な調査の有効性である。このとき、秩序生成の非決定性とは、特定の制度的な実体----その典型例が「国民国家」である----を秩序を構成するアクターが目指すべき目的と見なさずに、人々の多様な活動から形成される動態的な秩序のことを指している。このとき、地域研究は、決定論的な視点からでは汲み取ることが困難な視点を提供しうると考えられるのである。また、多様な活動についての実証を積み重ねたうえで、それをいかに新たな理論的枠組と接合するのかが問題となる。そのためには、多様な諸活動からなる関係性に焦点を当てる思想や哲学、あるいは宗教思想を参照することにも意義があるだろう。

DSC_0469 (2).JPG研究会の後半部では、李修京教授による研究発表が行われた。李教授の発表では、韓国系の組織である「在日本大韓民国民団("民団")」(1946年に創設された「在日本朝鮮居留民団」、のち1994年に現在の団体名に改名)に焦点を当てることを通じて、在日コリアンの人々がいかに日本社会と関係を結ぼうとしているのかということに対して光が当てられた。李教授によれば、実際に「民団」は、日本の地域社会に根ざすために様々な活動を通して「多文化共生」の重要性を提唱し続けてきた組織であり、日韓社会の架け橋であろうとし続けてきたのであり、この意味において、日本国内でのローカルなガバナンス機能を果たしてきた組織として理解することができる。確かに、民団が韓国政府からの強いプレッシャーを受けており、その意味で「ガバメント」的である側面があり、また、独自の教育機関を通じて、韓国人としてのアイデンティティを強化させてきたという側面もある。しかし、近年では、そうしたトップダウン型の組織形態の基礎が、組織構成員の高齢化や、在日韓国人の人々の価値観の多様化などによって揺らぎつつある。こうした中で、組織全体は、トップダウン式に全国的に一枚岩に結びつくことがなくなり、むしろ、各地域に点在する「民団」が個々別々に、市民としての在日韓国人の人々のアイデンティティと変容や日本の地域社会との密接な結びつきが形成されつつある状況に対して、柔軟なサポートを行うことができるプラットフォームへと転換しつつあることが指摘された。


全体の討論では、市民による活動とそれを支える制度や組織形成に着目することの重要性について議論された。国と国を単位とした社会の見方では、市民活動のダイナミズムがしばしば見落とされてしまう。この問題は、在日韓国・朝鮮人の人々と日本社会との関係にとどまらず、国際政治の場面における国家に規定された見方にも当てはまる。国家を基礎的な単位として人々の具体的な生や活動の領域を捉えることは、しばしば実りある理解をもたらすよりも、社会生活の具体像を国家間の問題に還元することで理解を妨げることになりがちである。また、討論は、政策論にも及んだ。本来、国家は、社会生活の具体性を形作る人々の地域ガバナンスの試みを通じた共生の実現をサポートする制度であるべきである。また、そうしたローカルな秩序形成のダイナミズムに分け入ることができる調査活動に対して公的な支援を行い、それによって研究と地域社会との関係だけでなく、共生関係の構築を促進しうるはずが、そうした動きから現在の国家の「ガバメント」的な視点は乖離してしまっている。こうした討論を通じて、本科研が取り組んできた大きな課題の一つとしてのボトムアップ型のガバナンスの構築という目的に対して、地域研究が有益な研究を提示できるということが示された。

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