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2005~2009年度
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1班の活動

第1班2013年度第4回研究会を開催しました。

1班の活動
2014/02/28

龍谷大学アフラシア多文化社会研究センター

2013年度 第1班 第4回研究会

 

報告者:浅川晃広氏(名古屋大学大学院国際開発研究科 講師)

    「Health and Immigration Control: The Case of Australia’s Health Requirement

報告者:青木恵理子氏(龍谷大学社会学部 教授)

    「インドネシア人看護師・介護福祉士候補生の民族誌:生活者と異文化共生の観点から

報告者:松島泰勝氏(龍谷大学経済学部 教授)

    「琉球の米軍基地と日本

 

日時:2014年2月18日(火)11:00-15:00
場所:龍谷大学大宮学舎 清風館301共同研究室

 

 第1班は2013年度の第4回目の研究会を、2014年2月18日に開催した。前回に引き続き、第1班の研究員3名にそれぞれの研究報告をしていただいた。

 

 浅川晃広氏は、オーストラリア出入国管理における健康状態を理由とした移民の制限の実践を取り上げ、その問題点と現状について報告をした。オーストラリアへの移民申請者の健康状態がビザ発給の要件の一つとなっているが、ここには感染症を防ぐためといった公衆衛生上の理由とともに、(むしろそれ以上に)社会保障制度にとっての財政的負担の大きさが問題とされているという。移民申請者一人あたりのコストは、ビザ申請者への健康診断と医師による検査・計算によって算出され、入国後5年間で合計35,000豪ドルを超えると予想される申請者にはビザ発給を拒否するという、「客観的」で機械的な手順によってスクリーニングが行われる。しかし、このようなプロセスの客観性については未だ議論が交わされており、社会にとっての「大きなコスト(significant cost)」の基準を35,000豪ドルとすることの正当性の問題、そしてコストだけでなく申請者の社会的・経済的貢献も考慮するべきという主張(Net benefit approach)から、現在は単に社会保障上のコストのみを問題とする移民制限を見直す流れにあるという。こうしたオーストラリアの経験は、社会保障制度と移民を考えるうえで日本にとっても参考になるだろうと浅川氏は述べた。

 

 青木恵理子氏は、経済連携協定によって来日するインドネシア人看護師・介護士(候補生)の問題を、生活者と異文化共生の観点から考察した。青木氏はまず、来日する候補生が増えないのは、国家試験が難しく合格率が低いからではないと述べた。メディアなどではしばしば試験の難しさがハードルとなっていると言われるが、実際の合格率は日本人と比べて遜色はなく、滞在年数が増えるにつれて合格率は確実に上昇している。とはいえ合格率上昇には単に滞在年数だけでなく、受け入れ先の公私にわたるサポートやインドネシア人の先輩からの指導・アドバイス、日本で生活することへのモチベーションの維持といった条件が不可欠であるという。インドネシアでは看護師の社会的地位は高く、多くの看護師候補生はすでに本国の看護師資格を持っているが、日本では多くの場合高齢者看護のみ任され、やりがいを感じにくい状況がある。また日常生活においても職場を同じくするわずかな日本人以外とは接触がなく、相互に異文化理解を果たす契機が生かされていない。インドネシア人候補生たちがやがて看護師・介護士となって日本で生活してゆくためには、候補生をただ高齢化社会のための労働力としてみるのではなく、看護・介護の専門職であることを含め、日本人と同等の業務をこなし、同じ社会で生きる生活者として理解しサポートすることが重要である。青木氏は、現場と社会でのサポート、そして同僚、患者、施設利用者、その家族との相互理解と関わりが、生活者同士の実のある異文化共生を可能にすると述べた。

 

 松島泰勝氏は琉球の米軍基地と日本というテーマで、日本と琉球の間の支配・従属という権力関係、植民地性を問題とした。松島氏によると琉球は、日本の面積の0.6%の土地にもかかわらず在日米軍基地の74%が押し付けられ、振興開発という名目の下で日本によって支配経済化されているという。また現在では数多くの日本企業が琉球に入り、日本企業による土地買収や地元企業の系列化・吸収合併によって多くの地元業者が倒産して失業者を生んでいる。米軍基地関連でも基地被害を受けない琉球外の軍用地投資家や基地内の建設事業の日本大手企業への発注によって、経済的利益が日本に還流する構造が形成されているという。米軍基地との関連でも、住民の反対を無視してのオスプレイ配備強行や辺野古基地建設の推進など、基本的人権の保障や主権在民という憲法の理念が琉球には適用されず、日米地位協定が憲法を上回る体制であった。基地の外でも米軍人・軍属とその家族は日本の法制に縛られずに居住し、住民税を払わずに行政サービスを受ける「幽霊人口」として自治体財政の負担となっている。これまで米軍の存在により、おおくの事故や事件、環境汚染や人権侵害が引き起こされてきたが、日本政府は琉球人の生命を守らず、地位協定を改正しようとさえしていない。反対に基地問題と開発振興をリンクさせ、「アメとムチ」によって琉球に圧力をかけてきた。松島氏は、これまで日米両政府と日本国民の多数派が琉球人の自己決定権を無視して琉球の方向を決めてきたことは、明確な国際法違反であると指摘する。このような日本に対して琉球人は「沖縄差別」、「県外移設」を主張するようになっており、これは琉球人が自らをナショナル・マイノリティとして、抵抗の主体として自覚したことを意味するとも述べた。

 

2013第4回①.JPG

浅川晃広氏

2013第4回②.JPG

青木恵理子氏

2013第4回③.JPG

松島泰勝氏

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