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2005~2009年度
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2班の活動

第2班2011年度第2回研究会を開催しました。

2班の活動
2011/12/05

「言語を通してみる多文化社会の可能性」

 

<第2班第2回研究会>

 

■   報告者と報告テーマ:

  本名 信行 青山学院大学名誉教授

  「英語の多文化化と異文化間リテラシー―インタカルチュラルアコモデータの開発を目指して―」

  李 洙任(Soo im Lee) 龍谷大学教授

  「朝鮮学校の位置づけから見える日本社会:文化と言語の観点から」

  脇田 博文 龍谷大学教授

  「民族ナショナリズムと言語政策―『国境なき共同体』のジレンマ―」

  高桑 光徳 明治学院大学准教授

  「日本の英語教育における『英語』と『諸英語』について」

 

■   開催場所: 龍谷大学大宮学舎 清風館301-302共同研究室

■   開催日時: 2011年12月3日(土) 13:00-17:00

 

【報告の概要】

 

挨拶:李洙任(Soo im Lee)(アフラシア多文化社会研究センター第2班班長、龍谷大学教授)

・2班の目的を紹介:言語を通して衝突の和解

・ELEC Bulletinの紹介、本名先生:「アジアにおける言語教育政策とその言語的文化的特徴」(マレーシアに関する研究)、李氏:「イラン・トルコの英語教育事情から学ぶ日本の英語教育への提言」

・英語の教育に関するイランの事例を紹介

 イランの場合、社会的・教育的資源がなく、テゲラン国立大学の図書館においても書籍やコンピューターの不足がみられ、教育環境が整っていないことがうかがえる。しかしながら、図書館員は英語だけではなく、フランス語などが数か国語が話せる。また、学生のモチベーションが高く、反米の学生もいなかった。つまり、イランにおける英語教育の場合、アメリカや他国からのネイティブ・スピーカーである英語講師のビザが下りないため、イランの教育機関はいかに「ネイティブ・スピーカーに頼らない英語教育」を行うのかという課題に取り組んでいる。

 

講演:本名 信行(青山学院大学名誉教授)

テーマ:「英語の多文化化と異文化間リテラシー」

 

 21世紀は、民族・文化・言語の異なるものどうしが出会い、交流し、協働する機会が地球的規模で広がり、そのような営みは各国社会のさまざまなレベルで行われるものと予想される。そこで、地球市民にとって、異文化間理解とコミュニケーションは最も重要な課題となる。英語は現在、多国間、多文化間交流を可能にする国際共通言語として、大きな役割をはたしている。

 英語の普及は、アメリカ人やイギリス人の英語がそのままの形で世界中に広がったものではない。世界各地の人々は英語を学習するなかで、それぞれの言語文化を英語のなかに取り込んで、独自の英語変種を創造したのである。英語の国際的普及は英語文化の一様化をもたらしたのではなく、多様化をもたらしたのである。普及は変容を呼ぶからである。

 しかし、英語が獲得したこの文化的多様性は、新しい問題を生む。それは、英語に多様な変種が発生すると、変種の異なる話し手どうしで相互理解がうまくいかなくなるという懸念である。しかも、その多様性に対処する方策は、従来の同化順応主義では間に合わなくなっている。

 この多様性のマネジメントに重要なのは、異文化間リテラシー(intercultural literacy)である。それは、異文化間接触のさいに、各自がそれぞれの文化的メッセージを適切に伝達し、そして相手のそれを十分に理解する能力を意味する。さらに、文化間の差違を互恵的に調整する能力も含む。英語学習の一般的目標は、このような言語運用能力の獲得にあることはいうまでもない。

 さらに、異文化間リテラシーの育成には、言語意識(awareness of language)を高めることが効果的と思われる。本講では、これらの論点を概観する。

 

報告1:李洙任(Soo im Lee)(アフラシア多文化社会研究センター第2班班長、龍谷大学教授)

テーマ:「朝鮮学校の位置づけから見える日本社会:文化と言語の視点から」

 

 本報告は、朝鮮学校を事例に日本社会における在日朝鮮・韓国人の教育の実態を言語や文化という視点から明らかにすることである。2010年4月から高校無償化法案(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案)が施行された。対象となった31校には、インターナショナル・スクール17校、ブラジル学校8校、中華学校の2校などが含まれた。しかし、貴重な文化的財産で、マイノリティとしての在日朝鮮人の強力なエスニック保持システムである在日朝鮮高校10校は指定されないまま1年過ぎた。この朝鮮学校除外は、例えば、大阪府による補助金のカット、また、支給はするが高校は除外するなど、地方自治体にも波及している。このような状況において、日本社会からの壮絶な排除と差別に対し、自分たちの文化・言語空間を創出する努力を続けている。

 

報告2:脇田博文(龍谷大学教授)

テーマ:「民族ナショナリズムと言語政策―『国境なき共同体』のジレンマ―」

 

 本報告では、EUの言語教育の理念や行動計画が中東欧のコンテキストでどのように政策として具現化されているのか、何が課題なのか考察することを目的とする。そして、複雑な民族問題を抱える中東欧における言語政策の状況と課題についてスロヴァキアの事例で取り上げる。

 「EUは「国家」の制度、「国家語」を相対化し、莫大な予算と努力を払って多言語主義を貫いている。」この流れから言えば、スロヴァキアの「国語法」を巡る国家主義・民族主義色濃い言語政策は、近代国家が追求してきた古い「言語=国家」イデオロギー―言語と国家を一体化するイデオロギーは中東欧に典型的に見られるのだが―に捕らわれ、逆行しているのは明らかである。しかし、「スロヴァキア語の法的地位の問題は、国内に居住する民族的少数者、特にハンガリー系民族的少数者の言語権と表裏一体の関係にあるために、きっかけがあれば政治問題化する可能性を内包している。」つまり中欧特有の複雑な歴史・民族事情と深く関わる。

 ここで、ヨーロッパ統合はどのようにして国家間、民族間の問題を止揚することができるのか、という根本的な疑問に逢着する。「EU市民」という新たなアイデンティティ形成と近代国家的「国民国家」イデオロギーの止揚の実現には、やはり多言語主義・多文化主義に対する個人意識の熟成を促す「教育」や複数言語能力の達成を目指した言語教育の力に待つところが大きいのではないだろうか。

 

 

報告3:高桑光徳(明治学院大学准教授)

テーマ:「日本の英語教育における『英語』と『諸英語』について」

 

 本報告では「諸英語」、「国際(共通)語としての英語」、そして日本の英語教育が目指すべき「英語」に関する考察を目的とする。現在、「英語」と「諸英語」の枠組みで次の英語能力レベルが挙げられる。それらは、ESL(English as a second language)、EFL(English as a foreign language)、ELF(English as a lingua franca)、EIL(English as an international language)、ENL(English as a native language)である。これらの中で、近年ENL話者数の約3億5千万人に比べ、ESL話者数の3億5千万人とEFL話者数の約10億人(Jenkins、2009)の方が圧倒的に多いといえる。そのため、日本人が学ぶべき英語は「国際語としての英語」ではないか。また、相手話者(一方通行の「対象」を含む)がどのcircleの出身の英語を用いていても対応できるような英語使用者を目指す必要があると考えられる。

 

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