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科学研究費助成事業 「新たなガバナンス論構築のためのアジア研究とアジア型国際関係論による共同研究」 基盤研究(A)(アフラシア多文化社会研究センター共催) 第2回研究会を開催しました。

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2015/08/06

アフラシア多文化社会研究センター、日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(A) 課題番号 15H01855 (代表者:清水耕介)共催

アフラシア多文化社会研究センター 第4回研究会

日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(A) 「新たなガバナンス論構築のためのアジア研究とアジア型国際関係論による共同研究」課題番号 15H01855 (代表者:清水耕介)第2回研究会

 

 

科学研究費助成事業 「新たなガバナンス論構築のためのアジア研究とアジア型国際関係論による共同研究」 基盤研究(A)  (アフラシア多文化社会研究センター共催)  第2回研究会

 

■午前の部 10:00~12:00

 講演者:猪口 孝 氏(新潟県立大学)

「ガバナンスとは何か」

 

■午後の部 13:30~17:00

 報告者:池田 丈佑 氏(富山大学)

「英国学派とは何か」

 

 報告者:佐藤 史郎 氏(大阪国際大学)

「非西欧的国際関係理論とは何か」

 

日時:2015年8月6日(木)10:00~17:00

 

場所:龍谷大学 深草学舎 紫英館 東第2会議室

 

参加者: 清水耕介、猪口孝、濱下武志、加藤剛、初瀬龍平、池田丈佑、佐藤史郎、中根智子、山根健至、柄谷利恵子、斎藤文彦、岸野浩一、横江千晶、松尾綾奈、本多善、学部生、大学院生(敬称略)

 

 

 8月6日(木)、龍谷大学深草学舎紫英館において、科学研究費助成事業「新たなガバナンス論構築のためのアジア研究とアジア型国際関係論による共同研究」基盤研究(A)(アフラシア多文化社会研究センター共催)の第二回研究会が開催された。アフラシア多文化社会研究センターのプロジェクトは、政治経済・言語政策・市民社会の3つの領域から、より複合的なガバナンス研究を進めていくことにある。そこで今回は科研(15H01855、研究代表者:清水耕介)との共催で「ガバナンス」についての理解を深めることを主眼とした研究会を開催した。午前の部では、新潟県立大学の学長である猪口孝氏にガバナンスについてご講演頂いた。午後の部では、富山大学の池田丈佑氏が国際関係理論の一つである英国学派の全体像に関して報告され、続いて大阪国際大学の佐藤史郎氏が英国学派などのナショナルな捉え方ではない非西欧型国際関係理論について報告された。

 

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<写真: 講演者 猪口  孝 氏>

 猪口氏は、状態空間を把握したり考えたりする際に用いられる「ガバナンス」について講演した。現状のガバナンス論は、国家を中心とした統治システムとしての側面と、国民が国家に関与する合意形成のシステムとしての側面がある。しかし猪口氏は講演の中で、ガバナンスとは一元的なものではなく、さまざまなレベルと多様な層から考察することが可能であることを主張した。猪口氏はガバナンスを統治機能の一環として捉えたり、ガバナンスを国家機構による人々の集約として捉えたりすることに限界があると述べた。そしてガバナンスをより複合的なアクターと視点から捉え直す必要があると指摘した。複合的にガバナンスを捉える際の重要な視点として、1. 民主主義、2. 安全保障、3. 世界市場を挙げた。

1. 民主主義

 民主主義とは個人を集約して国家や社会を構成していくことである。猪口氏は個人の選好を国家のみが集約していくことは困難であると述べた。たとえば民主主義を担保する形態として政党政治があるが、近年、世界的にみても党員数は減少している。EIU(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)の調査によれば、2010年代半ばの現在、アジア三十カ国で民主主義国はほとんど存在していないという。つまり個人を集約するシステムとして存在する民主主義に限界があるとした。またこうした中で、国連や国家機構といった組織では、民主主義に代わる新たな概念としてガバナンスが使用されるようになった。

2. 安全保障

 次に国家間戦争を、第二次世界大戦期(1938‐1945)・冷戦期(1945‐1989)・ポスト冷戦期(1989‐2015)の時期に分けた上で、民間人を含まない戦争関連の死者数を紹介した。それぞれの年間での戦争関連死者数は、約50万人、10万人、1万人というデータがあり、人類の戦争関連の死者数はこれらのデータから減少していることに注目した。ガバナンスを理解する上で、こうした過去の戦争状態と現在の状況の課題をどう捉えるかが重要であるとした。またこの推移から、国家によるガバナンスではなく、市民による選考がより強くなっていることを指摘した。

3. 世界市場

 1985年のプラザ合意によって、国際経済から地球経済へと以降した。1980年代からの数十年の歴史は激変し、財・サービス貿易の額よりも通貨貿易の額が増加した。1986年、通貨貿易は財やサービス貿易の数十倍となり、国家間による経済活動よりも、さまざまなアクターによる世界的な通貨経済へと転換した。何万とある国家企業がすべてを規定しているかのようにみえて、実は市民による経済活動や市場への参入が強まっているとした。

 

 猪口氏はこれら三つの視点に加えて、個人と社会(個人の集合体)との相関関係を分析した。これらの分析から、21世紀は従来の国家機構よりも、市民の選考と国境を越えたさまざまなアクターによる公共空間への影響が強まっていることを指摘。

 質疑応答を含む講演全体を通して、アジア地域を含有する複合的なアクターと視点からのガバナンス論構築に向けた考察可能性が示唆された。

 

 

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<写真:報告者 池田丈佑氏>

 池田丈佑氏は始めに、英国学派をまず学問内容から見た場合に、リアリズムとリベラリズム/アイディアリズムのどちらでもなくその中庸のものとして国際社会を捉えるという点で英国学派は独特であるとし、その「国際社会を軸として国際政治を理解する」学問だと説明した。加えて、「英国で複数の大学を拠点に国際関係論を教育・研究した人々」を指し、その二つの重なりを以って定義できると述べた。

 20年前の国際関係学においてほとんど議論されていなかった英国学派は、今日まで次第に認知、注目されるようになってきた。池田氏は1960年代に「国際社会」の概念が理論的に示された第一世代(~1972年)から、冷戦後の第四世代(1992年~)までをそれぞれに区切って提示し、その系譜を説明した。

 近年世界がグローバル化してきた中で新たな第五世代が出現しており、本来の英国学派において、「国際社会」はヨーロッパで生まれ育ち拡大していったと強調されてきた議論に対して、異議が出始めてきたという。英国学派にとっても西洋中心主義をどう克服するかは未決の課題であり、後に報告される非西欧型国際関係理論のような非西洋地域からの問い直しも踏まえて、英国学派はグローバルな国際関係論についての議論発展のための土台になるだろうと述べた。

 

 

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<写真:報告者 佐藤史郎氏>

 佐藤氏は冒頭で、「非西欧的国際関係理論」の用語に触れ、「Non-Western」を「非西洋」と訳すか「非西欧」と訳すかという点で、自身は「非西欧」を使用しているとした。文明的なイメージを想像してしまう「西洋」ではなく、空間的な響きを持つ「西欧」が望ましいのではないかと説明した。

 非西欧的国際関係理論についての研究は、2007年、International Relations of the Asia-Pacific の特集号において研究者らがその存在を議論したことが大きな契機となった。こうした理論は、アメリカの国際関係論への疑問や、英国学派に続き中国学派のようなナショナルなレベルでの国際関係論の高まり等を背景に再活性化した。この理論では、現在の国際関係論は西欧の知的ヘゲモニーであるという前提に立っていると考えられている。しかし佐藤氏は、非西欧の知見や経験を活かして国際関係論を考え直していくべきだと主張した。一方で佐藤氏は、日本の国際関係論と中国学派にも触れ、中国が新たに知的ヘゲモニーの争いに自ら陥ってしまうのではないかという危惧が叫ばれているとした。このような危険に陥ることなく国際関係論の多様化、及び非西欧的国際理論を考察していくためにも、国際関係論とアジアの地域研究の協働が重要であると述べた。

 最後に結論として、アジア型国際関係論を説く上でも上述の危険性は必ず注意しなければならないと確認し、その他今後の課題として、西欧的国際関係理論において知的ヘゲモニーがない理論(e.g. 人権)もあるのではないかという問いや、国際関係論は多様性を見出しても普遍的であるべきだという指摘に答えていく必要があると述べた。

 

 

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 全体の質疑応答では、「非西洋/非西欧」について議論され、「Non-Western」という言葉で意図したいものは何か、例えばそこに文化は含まれるか、また「非西洋/非西欧」について空間的な概念からは議論されているが、「時間」的な概念から考察した場合はどうか等、様々な意見が出された。また清水耕介氏(同センター長)からは、このような「時間」的な概念に関して、時間の瞬間を捉えることで、ある地域に遍在する事例の普遍性を探っていくこと・理論化していくことが可能ではないか指摘された。会場からは、これまでの国際関係論自体が、国際社会の動きを止めて議論されてきたことへの指摘があった。このような指摘から、今後、地域研究との協働研究が重要であることを全体で共有した。今後研究を進めていく上で非常に有意義な研究会となった。

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